2010年6月17日

オーストラリアのアボリジニ天文学者

 アボリジニのドリームタイム伝説によると奥地で全盲の男が妻と一緒に暮らしていた。毎日妻は、夫にエミューの卵を狩るようと言われていた。妻は、いつも一所懸命夫のためにがんばったのに、夫はいつも妻を「 エミューの卵が小さくって足りない」と怒鳴った。
 ある日、狩りの最中に、妻は大きいエミューの足跡を見つけ、追いかけた。足跡の奥に大きいエミューの巣があった。そこには、大きい卵があったが、大きいエミューもいた。彼女は、エミューを逃がすために、石を投げた。しかし、エミューは、逃げず、彼女に突っかかってきて、そして、殺してしまった。
 全盲の男は、お腹がすいて、妻のことを心配した。彼はめくらめっぽうに探して、潅木のみを見つけて食べた。すると、すぐに目が見えるようになった。彼は、やりとブーメランを作って妻を捜しに出た。
 妻の足跡をたどって、やっと大きいエミューと妻の体を見つけた。男がやりでエミューを殺し、エミューの魂を天の川まで追放した。
 夜空を見ると、大きいエミューの星座が見える。南十字星の右下のところはエミューの頭、首は北斗七星の中の二つの指極星の間、そして体は天の川である。
 エミューの星座はアボリジニに何千年前から伝わる話である。オーストラリアのアボリジニは、世界の最初の天文学者と言われている。
 例えば、ヨルング族のドリームタイムの物語は潮、太陽と月の満ち欠けや惑星軌道などについて、伝説を伝えている。ギリシャ文化では、オリオン座は巨人の猟師オリオンである。しかし、ヨルン族のうちでデジュルパン星座と呼ばれている。意味は、カヌーに乗っている三人の兄弟、そして、オリオン座の星雲は魚、そして、オリオン座の剣はカヌーから出した釣り糸である。三人の兄弟は、女性の集団であるおうし座のプレイアデス星団を追いかける星座である。
 驚くほどに、この伝説集はギリシャ神話とよく似ている。ギリシャの神話によると、オリオンはプレイアデス姉妹を追いかける星座である。その上の位置に、オリオンのかなわない相手プレイアデスは、両方の文化でサソリとして現れている。
 空を見ると、いつ季節が変わるか、どんな食べ物が食べられるかがわかるので、アボリジニは、天文学に興味があった。例えば、毎年時によって、エミュー座は立っていたり、座っていたり、どちらかに見える。その形によって、西の砂漠のアボリジニはいつエミューを狩ったらいいかがわかったである。
 サソリ座が夕方の空に見えると、カーペンタリア湾のグルートエイラント族は梅雨がすぐ終わるとわかる。ボーロン族は北西の空で彼たちが鳥座と呼んでいる、琴座を見ると、鳥が卵を生むことがわかったといわれている。
 夜空からは、いつ、どんな食べ物が食べられるかがわかるだけではない。
 いろいろな空の星座の話は、部族の共同体としての意識を固めた。この星座の物語は、道徳的な教訓で部族の若い人に伝えられたのである。
 しかし、星座の話は、だんだん少なくなっている。多くのアボリジニの部族の中の若い人は、通過儀礼の式に参加し、伝統的な話を学ぶ代わりに、大学に行きたいと思っている。
 アボリジニの指導者たちは、若い人のために近代的な教育を備える一方で、どうやってアボリジニの文化を保存していくかを考えている。
 アボリジニ文化といったら、洞窟画とブーメランのことを考えられがちたがギリシャの天文学に先行して、アボリジニの天文学者は、巧妙な考え方をしていたのである。